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CASE3

「……でーあるからしてじゃな……」
3時間目、来栖のいるA組ではジジイ先生の現国の授業が行われていた。
ジジイ先生の授業は、たまに奇天烈なことを言う以外はとても退屈で、
それに今日は天気もよく、心地よい日差しが降りかかってくるため、寝ている生徒もいる。
本来なら彼女もこういうときはウトウトとしてしまうものなのだが、今日は違った。
―――やっぱりあの時行っておくべきだったかな……
そう、来栖は今、激しい尿意に見舞われている。
それというのも、前の休み時間にトイレに行ったら芹沢が南条を抱きしめている現場を目撃し、
訳の分からないまま一緒に南条を抱きしめていた為、トイレに行きそびれてしまったのだ。
―――うー、あと20分もある……
教室の時計を見て、来栖は『1時間くらい我慢できる』と安易な考えでいた当時の自分を呪った。
いつもならあっという間に過ぎ去ってしまうはずの20分が、今はとても長く感じられる。
と、そのとき、
「……くぁっ……」
強い波が来栖に襲い掛かった。
来栖は思わず声をあげてしまったが、幸いにもそれに気づいた人は一人もいなかった。
来栖は脚をがっちりとホールドして、波に耐えた。
―――えーっと、こういうときどうすれば……
来栖は何か気を紛らわそうと考えた。
―――そうだ、素数を数えよう。1、2、3、5……ああっ、だめっ
素数を数えようとするも、第2波によってそれは中断させられた。
そしてその後も定期的に波は襲い掛かってきた。
波が襲い掛かってくるたびに、下腹部がじんじんと痛み、額からは汗が滲み出る。
来栖は時々周囲の目を盗んでは、手で股間を押さえてそれに耐えた。そして…

キーンコーンカーンコーン

3時間目の終了のチャイムが校内に響き渡った。
「……よし、じゃあ今日はここまでとする」
ジジイ先生の授業の終了宣言を聞くや否や来栖は猛スピードで教室を後にした。
途中、誰かが「廊下を走るな」と注意していたような気がしたが、気にせず、トイレに向かって疾走した。
そしてこの角を曲がればトイレはすぐそこ、というそのとき…

ドンッッ!

何かにぶつかって来栖は後ろに倒れた。
どうやら誰かと出会い頭にぶつかったようだ。
「イタタタ……すみませ〜ん」
「イッタァ〜…ってあれ?来栖ちゃん?」
ぶつかった相手はちょうど体育の授業を終えた芹沢だった。
「来栖ちゃん、どうしたの?そんなに慌てて」
「えーっと、その、私は……あっ」
ここで来栖は自分のお尻が濡れていることに気づいた。
芹沢とぶつかった衝撃でついに決壊してしまったのだ。
「あ……あぁ……」
今もなお、来栖の股からはチョロチョロと尿が流れ、下着とスカートを濡らし、
床に水溜りを作っている。
「来栖ちゃん……」
「いやっ、見ないでっ、見ないでぇ……」
来栖の痴態を呆然と見つめる芹沢。来栖は恥ずかしさから両手で顔を覆っていた。
―――なんでこんなことに……元はといえば芹沢さんが南条さんを……
来栖の頭の中ではぐるぐると色々な思いがよぎっていた。そして…
「芹沢さんっ、責任とってください!」
どういう考えをすればこの発言につながるかは彼女にしか分からないが、
唐突にそんなことを言われた芹沢は戸惑いながらも自分の持っていたタオルで
床の水溜りを拭き、来栖の手を引いて走っていった。

着いた場所は衣装部の部室。
「えーっとこれじゃなくて……お、あったあった」
芹沢は来栖が着用していたスカートと同じ色のものを探していた。
そしてそれを見つけると、替えの下着とともにシャワー室の脱衣所に置く。
シャワーを浴びてきた来栖は、それを着てシャワー室から出てきた。
「あの……すみませんでした……こんなことまでしていただいて……」
俯き加減で申し訳なさそうに謝る来栖。
「いいって、気にすることないよ、元はといえば私が呼び止めちゃったりしたから……」
「いえ、そんなことありません、芹沢さんは悪くないです」
「それに、あのままじゃ周囲に気づかれちゃうところだったしね」
「芹沢さん……」
ここでようやく来栖が顔を上げた。そして…

キーンコーンカーンコーン

4時間目の開始を知らせるチャイムが校内に響き渡る。
「さ、戻ろう、来栖ちゃん」
「はい」
そして2人はそれぞれの教室に戻っていった。


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