「おーい、来栖」
「なんですかー?桃瀬君」
この普通のヒトコトから全ては始まった。
本当のところ、桃瀬君って苦手なんだよな・・・
頭イイしスポーツ万能だし・・私のことなんて馬鹿にしてるんだろうな。
あの双子みたいにカワイイ訳じゃ無いし。
来栖かぁ、なんか俺のこと避けているんだよな。
同じクラスなのに、話す機会が無いし怪獣の着ぐるみで部活が命だしなぁ・・・
いや、妹とちがって小さくて一生懸命な娘は俺の好みで・・・まあチャンスが
あればデートくらいはしたいと思うのだけど。
「なあ来栖、今度の修学旅行委員会だけど何か良いアイデアはあるか?」
そうだった、部活のロケでHRを外していた間に修学旅行委員にされたんだよね。
まったく、うちのクラスは・・・五十嵐先生もお酒飲んでないでクラスや生徒の
事を考えてよ!
「うーん、せっかくの修学旅行だから一生の思い出が欲しいですよね。素敵な男の子と一緒
に岬めぐりとか・・あっ何いっているんでしょう私っ。」
まあうちの担任はメルヘンロードに逝ってるから最初から員数外だが・・・
ただ来栖のアイデアはいいよな。俺も高校生活で修学旅行は最大のイベントだと
思ってるし、これを機会に校内カップルが出来るのは修学旅行委員として嬉しい
し来栖の言い分は判るし、あいつも彼氏と一緒にいたいだろうからな。
ん?彼氏といたい?
そういやあいつに浮いた話ってあったか?
いや、身近に接していると相手が女の子なら意識はするし、しかも俺好み
のカワイイ娘だからなぁ、カレシの一人や二人はいるだろうなと、ちょっと
嫉妬心を感じて、いたたまれない気持ちになる。
あっ何か変なことを言っちゃいました。せっかく桃瀬君と二人きりになれたに。
桃瀬君と一緒に岬めぐりが出来ればいいのに・・・って言ったら桃瀬君は機嫌悪くするし。
やっぱり嫌われているのかな?でも・・・私は・・・・
「岬めぐりか、良さそうだな。」
素直に答えただけなのに、来栖ははにかみつつも本当に嬉しそうに笑う。
コイツ、こんなにかわいかったっけ?
「えっ、あっ、その・・・」
桃瀬君が私のアイデアを褒めてくれた!本当に嬉しい。
あなたに近づけて、一緒に居れるなんて。絶対双子なんかに負けないから!
修学旅行委員会で結局私たちのアイデアで北海道岬めぐりが修学旅行の行先に採用された。
「ありがとう、も゙も゙ぜぐ〜ん」
「いやいや、来栖が頑張ったからだよ。」
一緒にいるために頑張った甲斐があった、決まった時には周りの目を憚らず思いっきり抱きついちゃった。
でも桃瀬君は私の気持ち・・・解かってないんだろうなぁ。
良かった、俺たちのアイデアが採用されて・・・来栖のヤツ本当に頑張ったからな。
長い時間一緒に過ごして何かカワイイ妹がもう一人増えた気がする。
でも彼女は・・・いや、来栖に今すぐ会いたい、話したい!!
ほとばしる気持ちを押さえられない。
そして来栖に電話した・・・
「あっもしもし、来栖さんですか?」
いつもになく緊張している俺。
「あっ、はい来栖です!」
えっ、何?休みなのに桃瀬君から電話!?!?
「これから君の家に行って打ち合わせしたいけれど、いいかな」
えっ桃瀬君がこれからウチに!?
桃瀬君がウチに・・・これは夏の神様がワタシにくれたチャンス!!
桃瀬君に気づかれぬように私は
「じゃあ待っているから駅に着いたら電話をくださいね。」
平静を装って答えて電話を切った。