おおさんしょううお おほさんせううを 5 【大山▼椒魚】
有尾目の両生類。現存する両生類中の最大種で、全長1.4メートルに達する。
体は灰褐色で、四肢は短く、尾は側扁する。岐阜県以西の本州と北九州の山間清流にすむ。
半分に裂いても生きているといわれ、ハンザキの名もある。国の特別天然記念物。
「唐突に――ッ! 放課後ナーノヨッ!!」
〜中庭〜
とある一件をきっかけに華やかでピンクな衣装から一転。
ごく普通の制服と眼鏡の少女がいた。
名はベホイミ。
元新感覚癒し系魔法少女…いや、現在も継続中か。
そんな彼女の前に一匹の両生類が姿を現した。
「コンバンハですケロ」
「こっ…コンバンワっス…」
「………」
「………」
喋るウサギ。神のネコ。化けるタヌキ。
そんな動物達がいる桃月学園。
天然記念物の一匹や二匹がいても、なんら可笑しくは無いだろう。
暫しの間…開口したのはベホイミのほうであった。
「な…なんか用スか?」
まるで子供をあやすように前かがみで対応するベホイミ。
額には困ったように汗が流れている。
その見下ろす視線にあわせるように見上げる天然記念物。
彼の口からは彼女への感謝の意が漏れ出てきた。
「この節はお世話になりましたケロ」
「は? …あぁ、あの時の…」
ベホイミは少し思考を廻した後、手を叩いた。
とある一件。
ウサギ小屋が火事に見舞われた時に逃げ遅れたオオサンショウウオだろう。
彼女の手によって助けられたなったら、きっと死んでいた彼。
地味ながら眼鏡を輝かせて彼女は微笑んだ。
「別に構わないッスよ。正義の魔法少女なら当然ッス!」
彼女の笑みに両生類ながら頬を赤くし、
彼も嬉しいのか笑顔になる。
「癒されますケロ…」
「ナッ!? そっ…そんな事言われても困るッス…」
魔法少女を休業(?)して、地味な身になった矢先。
よもや天然記念物を癒す事になろうとは…誰が想像はできるだろう。
オオサンショウウオは会話を続けた。
「近いうちに、恩返しさせてもらいますケロ」
「恩返し…スか? ってあらら?」
彼は要件だけ述べると颯爽と消えていった。
眼鏡を掛けなおして腕を組んだベホイミ。
「一体…何だったんスかねぇ? まあ…気分は…悪くない…スかね…」
軽く頭をかいて元魔法少女は帰宅の戸につく。
しかし、これから起こる事を予見することは出来なかった。