「ねえくるみちゃん。くるみちゃんて双子の妹なんだよね?」
そう尋ねたのは喫茶エトワールの店長を勤める男だ。
この男、喫茶店に妙な妄想を抱いており、ソレを実現するために経営を傾けてまでいるのだが、それは今も尚実現しない。
ある意味病的ですらある。
「え?あーうん、そだけど?」
答えたのは、訳あってここでバイトをしている少女、桃瀬くるみだ。
発育の良い体つき、ニーソックス、加えて双子の妹と、世の男が群がりそうなハイスペックながらも、地味だ地味だと言われ続ける。
こちらもある意味病的である。
「萌えない萌えない言われてるくるみちゃんだけさ」
「余計なお世話だよ」
間髪入れずにくるみが一言。それでも店長は続ける。
「妹キャラとしてもっと売り込めばいいんじゃないかな?」
「えー?妹キャラー?」
くるみは明らかに不満そうな表情を浮かべる。
「だって他に妹キャラなんて少ないでしょ?そっち方面からアピールしなきゃ」
「って言われてもなー、双子の妹キャラなんて優奈がいるし、ロリぃ妹は雅ちゃんとかいるし、そもそもアピールするほどの仲じゃないよ?私と兄貴」
「へえ、そうなんだ?例えば、どんな?」
「例えばって言われても………そうねー、例えば―――」
所は変わって桃月学園。
「ねえねえ桃瀬くーん。桃瀬君とくるみちゃんて仲良いの?」
机に突っ伏して暇を持て余している少年、桃瀬修にそう尋ねたのは、くるみが言っていた双子の姉の方、柏木優麻だ。
「はぁ?何だよ藪から棒に」
伏せていた顔を起こして、眠たげな目で修はそう返した。
「だって、ウチは女同士だから仲良いけど、男女の双子ってどうなのか気になるんだもーん。ね、優奈ちゃん?」
傍らの、優麻と瓜二つの少女に問いかける。
「え?あ、うん。気になるね、優麻ちゃん」
こちらがくるみの話に出てきた妹の方、柏木優奈だ。
「お前等なぁ…双子っていっても年が同じだけで、他所と変わりないぞ?」
「変わりないって言われても、私達は姉妹だから分からないのー。ね、教えてよ〜」
優麻に懇願されて、修は渋々と口を開く。
「そうだなぁ、例えば―――」
ぱにぽに・ショートショート『桃瀬さん家』